イケメンエリート軍団の籠の中
「おい、舞衣?」
「は? はい!」
凪さんが舞衣って呼んだ??
「何、一人でぶつぶつ言ってるんだ?」
舞衣は恥ずかしくなって、慌てて話を変えた。
「凪さんはグレーが大好きなんですね?
髪の色も洋服もこのマフラーだって」
舞衣はそのマフラーをギュッと握りしめてそう聞いた。
すると、凪の表情がまた怖くなる。
何か遠くを見ているように目を細め小さくため息をつき、そして、舞衣を睨むように見た。
「好きな色、好きな食べ物、好きな服……
欲しいと思ったら、必ず自分のものにする。
ある意味、執着は凄い。
それは人間でも一緒だよ。
俺のものだと思ったら、必ず手に入れるし、何があっても手離さない」
舞衣はぼんやりと凪の言葉を聞いていた。
甘いカクテルが今になって舞衣の思考を破壊し始めている。
執着? ううん、終着? え?終電??
「な、凪さん、あの、私、もう帰ります。
私の住んでる家の最寄りの駅は、終電が早くて……
ヤバい、さようなら……」
そう言って立ち上がった舞衣は、そのまま意識をなくしてしまった。