イケメンエリート軍団の籠の中



凪はこの不思議な生き物をぼんやりと見ていた。

昼間に冷たくした分ちょっと優しい言葉をかけてあげたら、ポロポロ涙をこぼすはブツブツひとり言を言うは、あげくの果てには俺の膝に頭を置いて寝ていやがる。

映司も謙人も舞衣が起きるのをしばらくは待っていたが、全く起きそうにない寝顔を見て、凪に子守りを押し付け帰って行った。


「今日は凪に舞衣ちゃんは任せる。
こわ~い凪さんの株を上げるにはいいチャンスだぞ。

頑張れ、よろしくな」


そんな都合のいい理由を並べ二人が帰ってから、ゆうに30分は経っている。
すると、奥でバーテンダーと喋っていたジャスティンさえも、テーブルに戻って来た。


「お前まで帰るとか言うなよ」


凪はお手上げ状態の顔をして、ジャスティンを見た。


「凪の家に泊めてあげれば?
このビルに住んでるんだからさ」


凪は無言で大きく首を横に振った。


「僕はこの後シュウとデートだから、やっぱり舞衣は凪にお願いしたい」


凪はそう言うジャスティンを恨めしそうに見た。
ここのバーテンダーのシュウとジャスティンは、最近付き合い始めた恋人同士だ。


「マジか…… ハァ……

じゃ、車でこいつん家まで送るから、下の駐車場までおぶうの手伝ってよ。
あ、こいつの住所分かる?」


ジャスティンは笑顔で凪にピースサインを見せた。









< 56 / 171 >

この作品をシェア

pagetop