イケメンエリート軍団の籠の中
凪が立ち上がろうと舞衣の頭をそっとソファに置いた時、舞衣の目がパチッと開いた。
「ジャス、起きたぞ…」
凪が小さな声でジャスティンにそう言うと、それが聞こえたのか舞衣はまた目を閉じた。
凪とジャスティンは二人顔を見合わせ、静かに帰り支度を始めた。
「今日は俺が払うから」
そう言って凪が店員にカードを渡していると、ジャスティンが目だけで凪に合図を送ってくる。
凪が恐る恐るその方向を見てみると、そこにはソファに腰かけ何かを必死に思い出そうとしている、目が座った舞衣がいた。
「舞衣、大丈夫??
目が覚めた?」
ジャスティンが優しくそう聞くと、舞衣の目には見る見るうちに大粒の涙が溢れ出した。
「ジャスティンさん、どうしよう……
もう、終電が……」
舞衣の財布は今月は火の車だった。
先月、風邪のためバイトに半分も入れなかったせいで、今月は究極の節約生活をしていた。
お財布に1000円しか入ってないのにタクシーなんて使えない…
どうやって帰ればいいの?……
舞衣は恥ずかしかったり情けなかったりで、涙が止まらなかった。
こんな恥ずかしい理由を凪さん達に言えないよ…