イケメンエリート軍団の籠の中
舞衣は凪に引っ張られながら、エレベーターで下に降りた。
超高速で下に降りるエレベーターの中で何度も気分が悪くなったが、凪のゾッとした顔を見て気合で持ちこたえた。
「ビルの正面玄関に車をつけてもらってるから。
頼むから、吐いたりしないでくれよ」
凪は薄着の舞衣に自分のコートをかけ、肩を力強く引き寄せた。
真っ青で目の焦点のあってない舞衣が心配でしょうがない。
一回、吐かせた方がいいのかな…
一方、舞衣は朦朧とした意識の中で、凪の男っぽい体つきにうっとりしていた。
凪に抱きしめられていると、昔、父親に抱っこされた感覚を思い出す。
大好きだったお父さん……
なんでこんなとこで思い出すんだろう……
舞衣は凪に連れて行かれるまま、あれよあれよという間に豪華な車に乗せられた。
ここは車の中? それともお部屋??
そのゆったりとした空間には、座り心地のいいクッションにブランケットまで置いてある。
舞衣は車に乗った途端、また睡魔に襲われた。
舞衣、寝ちゃだめ…
また、凪さんを怒らせちゃう…
だめ、起きて、舞衣……
自分の意思とは関係なく、舞衣は凪の肩に寄りかかるとわずか数秒で眠りについてしまった。