イケメンエリート軍団の籠の中
凪は後部座席のゆったりとしたリクライニングシートの上で、ぷにゅぷにゅの舞衣の顔を見ていた。
また寝たし……
ま、車の中で吐かれるよりはましだけど……
凪はそう思いながら、舞衣のぷにゅぷにゅした頬を触った。
ほとんど化粧は落ちているのに、舞衣の肌はきめ細やかで真っ白だ。
凪は、舞衣の鼻をつまんでみた。
目は開くことはないが、一瞬顔を真っ赤にして水面に出てきた魚のようにふぁっと口を開けて息をする。
凪の顔は楽しそうにほころんだ。
「松村舞衣か…
面白いな、お前…」
凪はそう言うと、もっと更に舞衣を引き寄せた。
自分の周りにはほとんどいないタイプの女の子で、どう扱っていいかどう声をかけていいかも分からない。
だって、俺の好きなタイプは、一流で俺より何か秀でるものを持ってる女性のはず。
こんな無防備であからさまで、何も知らなくて何もできない子なんかじゃない。
凪はもう一度舞衣を見つめた。
人一倍、保護本能が強い凪にとって、舞衣の存在は守ってあげたくてたまらなくなる。
でも、守ってあげたいけど、扱い方は分からない。
扱い方は分からないけど、でも、こいつは俺のものだ。
凪は、久しぶりに心の底が熱くなる感覚に身を震わせた。