イケメンエリート軍団の籠の中
「あ、すみません、ありがとうございます…」
舞衣がそう言って後ろを振り返ると、そこには昨夜とは全然違うラフな格好の凪が立っていた。
「な、凪さん!!!」
舞衣は今度は本物のパニックに陥った。
昨夜の出来事が、ほとんど覚えていないけれど、珍事となって頭を駆け巡る。
「な、凪さん、あの、その…」
凪は慌てふためいている舞衣を、玄関の方へ向かせる。
「まず、入ってからにして」
凪は開錠した重厚な自動扉を開ける。
「……はい」
舞衣は、凪に肩を押されながらしょんぼりと中に入った。
中に入ると、舞衣は自分の仕事を思い出した。
まずはパソコンの主電源を入れて、その後、それぞれ皆のパソコンの電源を入れる仕事だ。
「いいよ、俺がやるから。
それよりあんたは、窓のブラインドを開けといて」
あんた……か。
確か、昨日は舞衣って呼んでくれたはずなのに…
舞衣はちゃんと凪にお礼も言えないまま、朝の仕事をこなす事を優先した。
舞衣が全ての部屋をチェックして真ん中のフロアに戻ってくると、凪はもうコーヒーを淹れて飲んでいる。
「な、凪さん、あの、昨夜のことなんですが……」