イケメンエリート軍団の籠の中
凪はコーヒーを片手に舞衣をジッと見ている。
「昨日の夜は、私、あまりよく覚えてなくって…
でも、凪さんには…」
「ねえ」
「は、はい?」
凪はまた目を細めて不機嫌そうな顔をしている。
「後ろ向いてみ?」
舞衣は言われるまま後ろを向いて、凪に背中を見せた。
「そのスーツ、きつくない?」
舞衣は頭の上にブロックを落とされた気分だった。
わ、忘れてた……
まず、最初に着替えなきゃだったのに…
「き、きつくないです…」
とっさに出た言葉は、やせ我慢の末の空しい嘘だった。
「え~、マジ?」
「凪さんにはきつそうに見えるかもしれないけど、案外、きつくないんです…」
……バカ、何できついですって言わないのよ。
「あ、そうなんだ。
でも、見た感じはパッツパッツだけど」
舞衣はずっと下を向いていた。
今、ここには、舞衣を優しく慰めてくれるジャスティンはいない。
「だから……
だから、早く出社して、昨日、置いて帰ったスーツに着替えようって思ってたんです。
今から、着替えてきます…
すみません、醜いもの見せちゃって……」
舞衣は早朝からこんなに落ち込むなんて久しぶりだった。
凪の事は大好きなのに、だからなおさらショックが大き過ぎた。