光ることを忘れた太陽。
「尚也っ!」
そのとき、ドカンと音がして俺の部屋のドアが乱暴に開いた。
「……何?母さん」
冷たい声で吐き捨てるように問いかけると、母さんは知らん顔で口を開く。
なんなんだよ、人の気も知らないで。
「私達、卒業式が終わったらしばらく出かけるから。留守番頼んだわよ」
「あぁ、わかった」
期待した俺がバカだった。
卒業式くらいは特別なことをしてくれるって。
少しは俺のことを考えてくれるなんて考えが甘かったんだ。
でも来てくれるだけマシか……。
母さんのせいで朝の爽快な気分が台無しだ。
何もわかってないくせに。
俺のことなんて知ろうともせずに、ただ物を与えてるだけの親のくせに。
なんなんだよ……。
でも、今日が最後なんだ。
最後くらい笑って過ごさないと。
そう思って今日も作り笑いで家を出る。
「……行ってきます」
返事はない。
快晴の空を見上げながら、少し重い足取りで学校へ向かった。