光ることを忘れた太陽。
なくした希望
《尚也side》
『咲希ちゃん……っ』
『辛くなるくらいなら、俺にすればいいのに』
『もう……バカだなぁ、咲希ちゃんは』
また、まただ……。
『私、尚のことが……好き……っ』
やめてくれよ。
早く、俺の中から出てけよ。
そうじゃないと俺は先に進めない。
咲希だって、いつまでも想いが断ち切れないだろ?
だから、早く俺のことなんて忘れてくれよ。
そうじゃないと俺は─────咲希と別れた意味がなくなっちまうんだから。
昨日、たまたま見ちまったんだ。
石塚の咲希への告白現場を。
咲希は『……ごめん』って、そう言ってた。
その理由はきっと俺にあるんだろ?
その後の2人の会話から、咲希がまだ俺を……想ってるってことまで簡単に察しがついた。
そんなの、聞きたくなかった。
俺のせいで咲希が苦しんでる姿なんて、見たくなかった。
心のどこかではわかってたのかもしれない。
咲希は不器用だけどまっすぐだから、いつまでも俺を追いかけるんじゃないかって。
でも、それをわかった上で俺は────咲希を振ったんだ。