光ることを忘れた太陽。

「桜蘭ちゃん……」


「石塚、あのさ」


ケラケラと笑う桜蘭の声がどんどん遠くなっていく。



俺、桜蘭のことあんなに笑顔にできたことあったっけ?


あんなに幸せそうに笑う桜蘭、見たことあったっけ?



咲希も桜蘭も、俺じゃ幸せにできないのかもな。


でも、優しいお前なら……できるんじゃないのか?



俺はお前に負けてばかりだな。


でもそれは、お前の努力の結果だってことくらいわかる。


だから素直に負けを認めるよ。


「石塚……」




気がつくと桜蘭も石塚も自分の席に戻って読書していた。


桜蘭の隣は石塚で、俺は斜め前。


だから俺にとってこの席は、すごく過ごしづらい空間だ。



桜蘭は石塚といると、女子らしくフワリと笑う。


付き合ってるって言っても俺達は学校で会ったり、たまにメールしたりするだけで、友達の延長のような関係。


でも、俺は……いつからか桜蘭に惹かれていた。



きっと今、桜蘭の心は俺には向いてないと思うけど。


だって、桜蘭は─────。
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