光ることを忘れた太陽。


教室へ戻ると、気のせいか重苦しい空気が流れていた。


すると、後ろから「田代」と、俺を呼ぶ声がする。



「……桜蘭」


何を言われるのか、なんとなく察しはついていた。


それでも俺は、そこから動くことができなかったんだ。



「咲希のこと、まだ好きなんだ?」


その質問に少しの沈黙が流れる。


でも、目を逸らしちゃいけない。



「……好き、って言ったらどうする?」


「別れる」


その答えは間を置かずに返ってきて、もう無理だと思った。



「桜蘭って俺のこと好き?」


そんなこと、一生聞かないつもりだったのに。


俺は賭けに出たんだ。


自分で幸せを壊す覚悟で。



「正直に言うと、好きじゃない。嫌いってわけでもないけど」


「……っ」


桜蘭は淡々とナイフのような言葉を並べる。



そんなの、心のどこかでわかってた。


わかってたけど質問したんだ。


俺にどれだけ希望があるのか知りたかったから。
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