光ることを忘れた太陽。

「最初から知ってたでしょ?」


その目は、「だから傷つかないでしょ?」って。そんな目をしていた。


俺の存在って、そんなもんなんだな……。



「だから、別れよう。もう終わり」


その言葉に、引き止める気力もなかった。




「……桜蘭は、石塚が好きなんだろ?」



かっこ悪いな。こんなところで声が震えるなんて。


でも、この現実から逃げちゃダメなんだ。



「まあね」


────終わった。


俺の恋はまた、儚く散っていくんだ。




それからは意識がフラついて、何も考えられなかった。


もうすぐ5時間目が始まるというのに、俺は教室を出た。


目を閉じて浮かんでくるのは、さっきの桜蘭の裏切りの目だけ。




すると後ろから。


「尚也……っ」


かすれる声でそう言ってついてくる石塚。



「……今更なんだよ」


きっと、俺達の会話が聞こえてたんだ。


だから桜蘭の気持ちにも気づいてるはず。


そんな奴に俺の気持ちなんて、わかるわけねーだろ。
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