光ることを忘れた太陽。

桜蘭は最初から俺のことなんて好きじゃなかったんだよな。


ずっと、石塚のことを想ってたんだ。





────俺と桜蘭の始まりは、ある暑い日だった。



委員会が終わって部活へ行こうとしたとき、教室にまだ人が残っているのが見えた。


それが、桜蘭だった。



テニスコートがある窓の外を見てボーッとしている桜蘭に、俺は声をかけたんだ。


『なんかあった?』と。



振り返った桜蘭の目は赤くなっていて、泣いてるんだとわかった。


今思えば、その視線の先には石塚のいるテニスコートがあったっていうのに。


俺はなんで気づかなかったんだろう。



『田代……?』



なんで泣いてるのか。


それを聞きたかったけど、聞いちゃいけない気がした。


そんなことをしたら、目の前にいる彼女が壊れるかもしれないと思った。



でも、次に発された言葉に耳を疑った。


『あたしと、付き合って?』


……って、いきなりすぎるだろ。



コイツ、バレー部だよな?


だったら咲希と付き合ってたことも知ってるはずなのに、なんで?
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