光ることを忘れた太陽。


そして着いた、屋上へ繋がる扉の前。


ここに尚がいるの?


泣いたりしてない?



そう思ったときだった。


中から悲痛な心の叫びが聞こえできたのは。




「俺は、誰を信じればいいんだよ……っ!」


尚が、傷ついてる。1人で泣いてる。


私がその傷を少しでも軽くしてあげないと。



おせっかいって思われるかもしれない。


でもこれは、私にしかできないことだと思うから。



……違うね。


私が、してあげたいから。


どんな形でも尚の傍にいたいから。


失恋の痛みはなかなか消えないってこと、私はよくわかってるから。



そのとき、そばには武琉がいてくれた。


おかげで心が軽くなったし、また前を向けた。



だから尚も、何も言わず一緒にいてくれて、引っ張っていってくれる人を必要としてるんでしょ?


振られた相手にこんなこと思うなんておかしいかもしれないけど。


私は、尚を助けたい。


だから─────また一緒に進もうよ。



そう思って、思いきり息を吸い込む。


そして私は、扉に手を伸ばした。


< 164 / 301 >

この作品をシェア

pagetop