光ることを忘れた太陽。
そして着いた、屋上へ繋がる扉の前。
ここに尚がいるの?
泣いたりしてない?
そう思ったときだった。
中から悲痛な心の叫びが聞こえできたのは。
「俺は、誰を信じればいいんだよ……っ!」
尚が、傷ついてる。1人で泣いてる。
私がその傷を少しでも軽くしてあげないと。
おせっかいって思われるかもしれない。
でもこれは、私にしかできないことだと思うから。
……違うね。
私が、してあげたいから。
どんな形でも尚の傍にいたいから。
失恋の痛みはなかなか消えないってこと、私はよくわかってるから。
そのとき、そばには武琉がいてくれた。
おかげで心が軽くなったし、また前を向けた。
だから尚も、何も言わず一緒にいてくれて、引っ張っていってくれる人を必要としてるんでしょ?
振られた相手にこんなこと思うなんておかしいかもしれないけど。
私は、尚を助けたい。
だから─────また一緒に進もうよ。
そう思って、思いきり息を吸い込む。
そして私は、扉に手を伸ばした。