光ることを忘れた太陽。
あのときは、楽しかった。
今思い返すと、小学校で過ごした日々は夢のように思えるくらいありえないことばかりで。
誰かに従ってばかりの今とは違って、自由だった。
笑顔も絶えなかった。
あの時間のことを “ 幸せ ” っていうんだって。
今になってそれがよくわかる。
「私、高いところが苦手だから……屋上に行ったはいいけど足が震えて立てなくなっちゃったんだよね……」
そう力なく笑いながら話す咲希。
俺も、ハッキリと覚えている。
たとえ昔の記憶でも。今は実現できなくても。
大切な日々はきちんと胸の中に閉まってあるんだ。
そして、俺にとって大切な人だって、きちんと今目の前にいる。
消えてなくなったりはしないんだ。
桜蘭と付き合ったこと。
石塚と友達になったこと。
俺はそのことを後悔した日が1度でもあったか?
これだけは断言できる。
アイツらに出会えて良かった、と。