光ることを忘れた太陽。

俺には、大切な失いたくない人がいるから。


俺を待っててくれてる人達がいるから。


もう逃げない。


楽しく笑い合ってたあの頃のように、まっすぐに前を向いて。



「……っそんなの、当たり前だよ!」



なぁ、なんで咲希はそんなに優しいの?


俺、1度は咲希のこと裏切ったんだぞ?


それなのに、なんで咲希はそんなに笑顔で俺のことを受け入れられるんだよ。



「私も、尚と離れるのは嫌だもん!」


あぁ、そっか。忘れてたよ。


咲希は不器用なくらいお人好しで、まっすぐだってこと。



「それに……私でいいなら、いくらでも尚のそばにいるよ」


そう言って、咲希はフワリと笑った。


そう、あの頃と変わらない太陽のような笑顔で。



────ドキン。


心臓が大きく音を立てた。


やっぱり俺は、この咲希の優しさに惚れたんだ。



いつだって、俺が辛いときにそばにいてくれたのは咲希だった。


そして、今目の前で俺の苦しみを一緒に味わおうとしてくれてる。


それも、紛れもなく咲希なんだ。
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