光ることを忘れた太陽。
ある日の夜。
『今頃、雅也(まさや)はどうしてるかしらね』
母さん達は俺の兄ちゃんの雅也─────雅兄の話をしていた。
雅兄は、俺が小さい頃から病院に入院してて、あまり会ったことはない。
でも、母さんからよく話は聞いてるからなんとなく身近に感じる。
だけど俺はずっと、雅兄が嫌いだった。
母さんも父さんも、大っ嫌いだった。
いつも雅兄のことばかりで、俺のことなんて何も気にしてないくせに。
親の面して口うるさく俺を縛りつける。
俺は悪いことをした?
俺は生まれてこなきゃ良かった?
いつも家でのけ者にされる俺の気持ちがわかるか?
『あら尚也、いたの?』
そう言って俺を見る目は、まるで虫を追い払うときのような嫌悪を表す目。
そこにいたことすら気づいてもらえないような、そんな存在なんだ。
『尚也は何もしてくれないわよね。もう、親不孝者なんだから』
『まぁまぁ、そこまで言わなくても』
そう言う父さんも笑ってるけど。
母さんは刃物のような言葉を、平気な顔して俺に突き刺す。