光ることを忘れた太陽。
桜蘭に振られて傷ついた心を癒してくれたのは咲希だった。
俺にとって守りたいものを教えてくれたのも咲希だった。
だから俺は、咲希のために生きようって。
咲希のために命を懸けようって。
そう思ったんだ。
この気持ちに後悔はしてねーぞ?
だって咲希を好きでいるとき、俺はずっと幸せだったから。
付き合ってたときも、幸せだった。
でも咲希は、俺といても幸せになれない。
それなら俺は、咲希からは手を引く。
俺の気持ちなんて知らなくて構わない。
そう思ってたのに。
咲希の優しさに触れると、こんなに辛い思いする必要あるのか?って。
そう思っちまうこともある。
でもそんなの、単なる甘えにすぎないから。
俺はもっと傷つかなきゃいけないんだ。
咲希も、石塚も、桜蘭も。
みんな俺を恨んでくれ。
俺のことなんか。
「……忘れてくれればいいのに」
ジリジリと焼けるほど暑い夏。
何かが変わろうとする合図が聞こえたような気がした。