光ることを忘れた太陽。
9章
晴れゆく雲
《咲希side》
「それで?どうしたの?」
私、伝えたいことがあるんだ。
自分の気持ちを押し殺してまで傷ついた私を支えてくれた、君に。
誰よりも努力家で、泣きたいときはいつだって傍にいてくれた、君に。
「武琉、ありがとう」
こんな私のことを好きになってくれた、君に。
ちゃんとした答えを伝えようと思うんだ。
前みたいな作り笑いじゃなくて、私の心からの笑顔で。
そうじゃないと君も─────武琉も、前に進めないでしょ?
「いきなりだね」
そう言って武琉は寂しそうに笑う。
私のせいだよね。
私の気持ちばかりを押しつけて、傍にいる武琉の苦しみなんて考えてもなかった。
私といると辛かったでしょ?
私といるから今でも引きずって、忘れられないんでしょ?
武琉の気持ちには応えたいよ。
でも私は、素直になるって決めたから。
この不器用な私の言葉で、最大級の思いを伝えるんだ。