光ることを忘れた太陽。
と、噂をすれば。
「わかんねーならいいよ」
フワッと香る匂いとともに声が聞こえてきた。
「あっ、尚!」
「尚也くん、ちょうどいいところに来たわね」
そう言って光梨が笑みを浮かべると、尚は苦笑いをする。
「井上、余計なこと言うなよ」
「それは尚也君が言わないからでしょ?」
そう言って話を続けている。
一体なんの話をしてるの?
「尚、何を言うの?」
耐えきれなくなった私は、尚に質問した。
このままだと、2人だけの会話に飲み込まれそうだったから。
「それは、尚也くんが咲希に……」
「いやっ、咲希は聞かなくていいから!」
尚は、なぜだか答えようとする光梨の口を塞ぐ。
言いかけた言葉は遮られてしまった。
あの尚が声を荒らげるなんて。
そんなに話したくないことなのかな?