光ることを忘れた太陽。
《尚也side》
「今更、何?」
正直、いきなりすぎて驚いてる。
こんなに早く向き合うときがくるなんて、思ってもなかった。
「あのときは、ごめん」
夏も本格的になり、毎日目まぐるしい暑さが続くこの頃。
俺の目の前で頭を下げるのは、桜蘭。
別れてから少し時間が経ったせいか、咲希への想いを再認識したせいか。
向かい合っても、不思議と怒りや悲しみの感情はわかない。
振られたときの涙はなんだったんだろう、って思うくらい今は平気だ。
だって今の俺はもう、迷ってないから。
「別にいいよ。俺は付き合ったこと、後悔してないし」
「あたしもだよ」
俺の言葉に、間を置かず返す桜蘭。
引きずってない、って言ったら嘘になる。
でもそれよりも俺は、咲希を苦しめたことが1番辛い。
だから、今すぐにでも誤解を解きたい。
俺の好きな人は咲希だって、伝えたい。
でもそれは許されないことだから。
俺にはそんな資格ないから。