光ることを忘れた太陽。
《尚也side》
「はぁっ、はぁ……っ」
もう、壊れるんじゃないかってくらい全速力で走ってきた。
「なお、や……速すぎぃっ……」
そして桜蘭も俺のスピードについてきた。
ここは俺のマンションの前。
『咲希なら石塚と一緒に、尚也の家にいるよ』
桜蘭が言うには、この中に咲希と石塚がいるらしい。
……マジで、無茶しやがって。
俺が咲希から離れた意味ないじゃん。
俺の両親と関わることが、どんな危険と隣合わせになるのか知らないくせに。
でも、だから。
俺も始めようか。
今までで1番の反抗を。
急いでエレベーターに乗り、扉の前まで辿り着いた。
息を落ち着かせて、あとは入るだけだ。
そこで、心臓がドキドキとうるさいことに気づく。
ダメだ。全然集中できない。
と、次の瞬間。
「部外者に何がわかるの!?」
そんな怒鳴り声とともに聞こえたのは、何かがガラガラと崩れていく音。
何かあったのか?
「尚の気持ち、考えてあげてください!」
そんな俺の気持ちをかき消すように、咲希の声が聞こえてくる。
……咲希は、俺のために。
必死な思いで母さんにしがみついてるんだ。