光ることを忘れた太陽。

「でも……尚が抱えてた思いはこんなに小さくないでしょ?」


そうだな。


本当に辛かった。助けてほしかった。


それでも俺はもう見失わないから。



「俺は、咲希がいてくれれば充分だから」


「え……?」



だって咲希も、俺と同じ気持ちなんだろ?


俺は、咲希のためを思って別れた。


でも桜蘭と付き合っても、何をしても、咲希と過ごした思い出だけは消せなかった。



あの約束のペアリングも、今も捨てずに残ってる。


毎朝起きたら見れるように、すぐそばに置いてる。


咲希との日々を忘れないように。



やっぱり俺は、咲希がいなきゃダメだった。


そのあたたかい優しさに触れていなきゃダメだったんだ。




『私は─────ずっと尚が好き。尚じゃなきゃダメなんです。だから、絶対に苦しんでほしくない』


咲希が、そう思うように。


俺だって咲希への想いは誰よりも強いから。
< 199 / 301 >

この作品をシェア

pagetop