光ることを忘れた太陽。
「母さん、俺もごめん……っ」
「いいのよ。私こそごめんなさい」
もう治らない傷だと思ってた。
もう縮まらない距離だと思ってた。
家族なのになんでこんなに溝があるんだろうって、ずっと思ってた。
でもその原因は、それぞれが自分のことでいっぱいになって。
いつしかわかり合うことを諦めてたから。
そんな俺達に向き合うきっかけをくれたのは、間違いなく咲希だ。
そして、桜蘭や石塚も俺の背中を押してくれた。
やっぱり俺は、1人なんかじゃない。
俺には、大切な仲間がいるから。
「咲希、桜蘭、石塚」
今度はちゃんと目を見て伝えよう。
「本当に、ありがとう」
するとみんなは顔を見合わせて頷いた。
「そんなの当たり前」
「良かった。尚也に届いたみたいで」
桜蘭と石塚からは安堵の息が漏れる。
「尚、おかえり」
そして咲希は、微笑んだ。
あのひだまりのような笑顔で。
この瞬間、俺達に本当の夏がやってきた。