光ることを忘れた太陽。
病室の前まで来ると、急に緊張してきた。
「尚のお兄さん、どんな人なの?」
咲希は楽しみにしてるのか、さっきから質問をしてくる。
雅兄と俺は7歳差だと言うと、すごく驚いてた。
会うのは3年ぶりだと言うと、少し寂しそうな顔をしてたな。
そんな顔、させたくない。
咲希にはいつだって笑顔でいてほしいんだ。
だから咲希のためにも、俺は変わりたいって思う。
コンコン、と病室の扉をノックして、深呼吸をして入る。
すると、そこには見渡す限り一面が白。
まさに病院って感じの清潔感溢れる部屋だった。
この部屋は個室だから、個人の話をしても別に問題はない。
「雅兄」
ベッドで本を読んでいたのは、まさしく俺の兄ちゃんの雅兄で。
眼鏡をかけて、少し弱々しい瞳でこっちを見ている。
あぁ、懐かしいな。
堂々と正面から顔を見たのなんて、いつぶりだろう。
それとも、初めてだろうか。