光ることを忘れた太陽。

「尚、也……?」


力なく発されたのは、俺の……。



「名前……」


覚えてたのか?


最後に会ってから3年も経ったっていうのに。



なんか、嬉しい。


人に名前を覚えてもらえてただけで、こんなに嬉しいなんて。


そんなの当たり前すぎて、気づかなかった。




「隣の子は?」


そう言って咲希を指差す雅兄に、咲希は急いで自己紹介をする。



「波口咲希です。尚の、えっと……」


「元カノだっけ」


口ごもる咲希に、淡々とした口調で言う雅兄。



咲希は、驚いた様子で呆然と雅兄の方を見ている。


なんで知ってるんですか、とでも言いたげな目だ。



俺だって雅兄に言ったことはないし、咲希が会ったこともない。


じゃあなんで知ってるんだ?
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