光ることを忘れた太陽。

「母さんから聞いたよ」


そう言ってフワリと笑う雅兄。



すると咲希は。


「……っ」


目を大きく見開いて俺と雅兄を交互に見る。



きっと、気づいたんだ。


昔からよく言われてた『俺と似てる』ってことに。



それに気づいたのか、雅兄は「ははっ」と笑った。


良かった。


あまり覚えてないけど、前に来たときよりも元気そうだ。



「2人も素直になったら?誰かに縛られて恋する必要なんてないんだよ」


自分の思うままに生きればいい。


雅兄はそう言った。



俺にはその姿が眩しくて、思わず目をそらしてしまいたくなった。


でも、ここで逃げちゃダメなんだ。


俺は、雅兄に自分の気持ちを伝えるために来た。



自分の心にけじめをつけるんだ。


後悔したくないから。


咲希を心残りのない状態で、迎えに行きたいから。
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