光ることを忘れた太陽。

「彼女は、僕よりもずっと重い病気だった」


雅兄より、重い病気。



雅兄はいつも笑ってて、俺には笑顔でいる記憶しかなかった。


でも今は……泣きそうな顔で、弱々しく笑ってる。


苦しそうで、でもそれを隠してるような笑み。



「僕の手術の前日に死んだんだ。『幸せになって』って言葉を残して」


その口調から、雅兄もその現場にいたんだとわかった。


どんなに辛かっただろう。


もう一生、どんなにもがいても大好きな人に会えないなんて。



もしも、咲希ともう会えなくなったら?


離ればなれになってしまったら?


俺はどうやって生きていくんだろう。


新しい “ 太陽 ” を探すんだろうか。



でも、俺はきっとそんなことしない。


どんなにすれ違っても、俺は咲希が好きで、大好きで。


もうこの想いは、見過ごすことなんてできないほど大きいんだ。
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