光ることを忘れた太陽。
《咲希side》
────夢を見た。
学校からの帰り道、私は1人で歩いていた。
すると、後ろから小さく足音が聞こえる。
懐かしいような、切ないような、そんな感覚が広がる。
「行くなよ」
後ろから腕をつかまれて、そのまま腕の中へと引き込まれる。
大好きな彼の香りが鼻をくすぐる。
「……尚?」
ねぇ、どうしたの?
そんなことされたら、また芽生えちゃうよ。
尚への恋心が抑えきれなくなっちゃうよ。
「俺のことしか考えられなくなればいいのに」
なんでそんなこと言うの?
私は尚といると辛くて苦しいのに。
尚は私のこと、好きじゃないんでしょ?
それなのに、惑わせるようなことしないでよ。
その懐かしさに、涙が止まらなくなってしまうから。