光ることを忘れた太陽。
番外編

隣のポジション




《武琉side》




「本当に、良かったの?」


今、俺の視線の先には、幸せそうに笑う2人がいる。


────そう、咲希ちゃんと尚也だ。



別れてからもずっとお互いを好きだったのに、素直になれなくて遠回りしてしまった。


それでも、相手を想う気持ちは誰よりも強いんだと思う。


そんな2人の邪魔なんてできない。


2人がこうして幸せそうに笑ってるなら、俺は他に何も望まない。




だから。


「……うん、これでいいんだ」


俺の気持ちはずっとずっと奥にしまっておこう。



誰にも気づかれないようにフタをして。


誰も開けられないように鍵をかけて。


俺にしか見つけられない場所に隠しておこう。



好きな人が幸せなら、それで本望だ。


それ以上なんて期待しちゃいけない。



だって君は、俺のことをただの友達としか見てないんだから。


……咲希ちゃんには、尚也がいるんだから。
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