光ることを忘れた太陽。

「……直球だね。ちょっと傷つく」


あれから、何事にも素直に返すようになった桜蘭ちゃん。



ああやって猫を被ってるより、今の方がいいよ。


でも、他の人に対しては昔のままでもいいんじゃないかな?


だって、素直な桜蘭ちゃんは。


……俺にだけ見せてくれればいいから。




「そうだ。俺も言い忘れてたよ」



桜蘭ちゃん。


この気持ちはなんていうのかな。


同情じゃない。怒りじゃない。悲しみでも、同志でもないんだ。



そう、これはきっと─────。



「ありがとう。桜蘭ちゃん」


「えっ?」



どうしたの?


心から驚いてるような顔してるね。


でも、可愛いよ。



……なんて、声に出しては言えない。


俺はまだ自分の気持ちも伝えられない意気地なしだから。
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