光ることを忘れた太陽。

「桜蘭ちゃんのおかげで、大切なものを見失わずに済んだんだ」


そう伝えても、桜蘭ちゃんは疑いの目を向ける。


あれ、本当に信じてないの?



「でも、それは咲希や尚也が……」


「違うよ」


確かに2人にも助けられた。


でも、俺にとって今1番心の支えになっているのは。



「桜蘭ちゃんだよ」


そう、これは心からの本音だよ。



桜蘭ちゃんがいなかったら、俺は逃げ出してたと思う。


ずっとこんな俺の隣にいてくれた。


それだけで、心強いんだよ。



「そんなこと言われたら……っ、最後って言ったのに最後にできないじゃん……」


最後?


一体、なんの話?




「ねぇ、石塚」


俺と桜蘭ちゃんの間に、なんとも言えない不思議な空気が流れる。


でも、居心地が悪いわけじゃない。
< 295 / 301 >

この作品をシェア

pagetop