光ることを忘れた太陽。

無理だ。それだけは無理だろ。


だって咲希はとてつもなく不器用だから。



「保健室ってよく来るから、物の位置も覚えたんだよねー」


と、呑気に話す咲希。


……よく怪我するもんな。



咲希はドジってことでも有名で、保健室の常連。


その上、不器用な咲希。



「咲希に手当てしてもらうとか、不安すぎるんだけど」


「え、ひどいよーっ!私だってできるんだから!」


と言い張る咲希。


こう言い出したら聞かないな……。



そう思った俺は。


「それなら頼むけど?」


「任せて!」


いきなり明るくなりやがって。


まったく、調子のいい奴。




でも、咲希のそういうところも好きだ。


気分屋で、すぐ調子にのって。


それなのに、どこまでもまっすぐで、優しくて。


……やっぱり俺、重症かも。
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