光ることを忘れた太陽。

「もう少しポジティブに考えねーと、気がもたねーぞ?」


口調は荒いけど、隼からはあたたかいものを感じる。


俺は、それも隼の優しさだってことを知ってる。


だって、6年間の付き合いだからな。



「……仕方ないから、聞いてみるか」


単純かもしれないけど、そう言って立ち上がる。


その俺の様子を見て納得したのか、隼はゆっくりと首を縦に振った。



「頑張れよ」


隼の言葉って、こんなに心に響いたっけ?


きっと隼にも好きな人がいるんだな。


俺は井上だと思ってるけど。



隼は、俺が後悔しないように言ってくれてるんだ。


これも全部が隼の優しさ。


俺は少し微笑みながら、咲希の方へ向かった。
< 56 / 301 >

この作品をシェア

pagetop