光ることを忘れた太陽。

この人が今朝、私にメールを送ってきた尚。


いつも元気で、クラスでも中心の方で笑ってるのをよく見る。


私はそんな尚に6年間振り回されてるんだけどね。




「咲希?」


気づけば近くに尚の顔があった。



「え、何?」


「いや、何考えてるのかなって」


そう言って尚はイタズラな顔で笑う。


認めたくはないけど─────かっこいい。



かっこいい人はいいな。


何をしても許されるじゃん。


私みたいに平凡な人の苦労なんてわからないよね。



「……ズルい」


気がつけばそんな言葉が私の口から出ていた。



「え?」


その言葉に、尚は不思議そうに聞き返す。


理由だけは絶対に言いたくなかった。


はずなのに……。



「尚はかっこいいからズルいよね」


思わず口に出してしまった。


すると、尚は驚いたように私の顔を見てそっぽを向いた。


……だから言いたくなかったのに。



どうせ、信じてないんでしょ?


私ったら、なんで言っちゃったんだろう?



不機嫌になったかと思ったら、今度は笑ってる。


やっぱり尚って不思議だなぁ。
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