光ることを忘れた太陽。
チョコに気持ちを込めて
《光梨side》
緊張する……。
生あたたかい汗が流れる中、あたしの心臓は破裂寸前。
あたしは井上光梨。
今日はバレンタインデー当日。
だから、いつもより気合いを入れて学校へ来たの。
もちろん、胸にチョコを抱えて。
あたしは今日、隼人に告白する。
隼人とあたしは、5年生のときにクラス替えをして同じクラスになった。
でも、打ち解けるまでにあまり時間はかからなかったわ。
だってその間には、いつだって咲希がいたから。
あたしと咲希は、クラス替えをしてすぐに友達になった。
きっかけは、咲希が話しかけてくれたこと。
1人で本を読んでたあたしに。
『ねぇ、水飲み行こう!』
いきなりそう声をかけられてびっくりしたけど、今では笑えるいい思い出。
それから、クラスではいつも咲希といるようになって、毎日が楽しかった。
そう、咲希が光をくれたみたいに。