光ることを忘れた太陽。

「……泣くな」


気づけばあたしは、隼人の胸の中で泣いていた。


いつからここにいたのかしら?


隼人の服に光る涙が見える。



「お前に泣かれると困るんだ。抑えきれなくなるんだよ……」


隼人……。


こんなに取り乱してる隼人、初めて見た。


感情を表に出してるところなんて…。




「光梨」


ふいに呼ばれた名前に驚く。



だって今まで、「光梨」って呼んだことなかったのに。


ずっと「井上」って呼んでたじゃない。



それなのに咲希だけは「咲希」で。


あたしが何度、嫉妬したと思ってるの?


そんな問いかけも届くわけがなく、隼人はあたしの目をじっと見つめる。
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