光ることを忘れた太陽。
すると。
「尚也、もう時間じゃないの?早く学校行きなさい」
険しい顔で俺を睨む母さん。
その急かすような言い方に、俺はいつも惑わされてばかりだ。
……そんなに俺といたくないのかよ。
心配しなくても、俺はちゃんと出ていくのに。
こんな空間、耐えられないから。
「……行ってきます」
靴を履いて、心を落ち着かせる。
こんなことでイライラしてちゃダメだ。
せっかく咲希に会える学校に行くっていうのに。
そしてそのまま、玄関を飛び出した。
◇◆◇
俺が1人で通学路を歩いていると。
学校に行く途中で、見慣れた後ろ姿を見つけた。
────咲希だ。
1人だし、今がチャンス。
「咲希」
そう思って後ろから呼びかける。
「あっ、尚。おはよう」
すると咲希は無邪気に笑って、挨拶してくれるんだ。
こんな俺に笑顔を向けてくれる咲希が、可愛くて仕方ない。