光ることを忘れた太陽。
そして、咲希の隣に並びながら歩く。
好きな人の隣を歩けるなんて、幸せだなって思う。
でも、もしも俺と咲希が付き合ったら……。
もっと堂々と歩けるのか?
そんなことを考えながら、咲希の小さな手を見つめる。
誰かが掴んであげなきゃ消えてなくなっちまいそうな手。
俺はいつか、その手を握れるのか?
咲希が泣いてるときに助けてあげられるのか?
俺は咲希を笑顔にできるのか─────?
「尚?」
突然、咲希が俺の顔を覗き込む。
「どうしたの?」
そんなこと聞かれるってことは、それほど俺はボーッとしてたんだな。
寝不足か?
それとも、咲希のこと考えすぎたか?
「ごめんごめん、大丈夫」
俺はそう言って咲希の方に向き直った。
やっぱり春の日差しが当たって眩しい。
雪も溶けて歩きやすくなってきたし。
もう春だな。