光ることを忘れた太陽。


「尚、ありが……」


「俺と咲希って、ただの友達?」


「ありがとう」と言いかけると、尚も同じように質問してきた。


でも、いつもと違って真剣な眼差し。



「う、うん。そうでしょ?」


少し戸惑いながらもそう言って返事をする。


この答え、間違ってないよね?



「……ん、まぁ」


尚はなぜか納得いかない顔をしながら曖昧に返事をした。



私も尚も、お互いのことはただの友達としか思ってないもん。


それなのに、なんでそんなに悲しそうな顔をするの?


なんで切なそうなの?



私の知らない尚が、今目の前にいる。


もしかして傷つけるようなこと言っちゃったかな……?




「……咲希にわかるわけないよな、鈍感だし」


「え?」



前にも尚がこんな風になることは何回かあったんだ。


そのときも不思議なことを言ってたんだよね。


それで、毎回はぐらかす。


教えてくれたっていいのに、意地悪なんだから。
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