ジンクス
確かに店員さんを前にして、悩んでいた私も悪い。

でもわざわざ、私が苦手な筍のパスタを選ぶことはないと思う。

「お待たせしました、Cセットです」

「あ……」
 
私です、っていおうとしたら、奴が軽く手を上げた。
店員さんはその前にCセットの筍のパスタを置く。

「なんで……」

「は?
俺が食べたいから注文したに決まってるだろ」
 
ニヤリ。

片頬でそう笑う奴にむかつく。

「Aセットです」
 
すぐ次に運ばれてきたのは、厚切りパンチェッタとアスパラの、温玉のせカルボナーラ。

はっきりいってかなりおいしそう。
最初から迷わずこっちにしときゃよかった。

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