溺愛妖狐ひろいました
「亜子は、おれの事、嫌い?」
私を見上げながら切なげに瞳を揺らす。
そんな顔されたら、なにも言えない・・・!
「き、嫌いなわけ、ないでしょ」
「じゃあ、好き?」
「す・・・、そりゃあ、どっちって言われたら、好き・・・だけど、好きの意味が・・・」
だって、正直わからない。
そんな風に見たことなんてなかったし。
私が世話をしなくちゃっていう勝手な使命感でここまで来て・・・。
時々、ミコトに男を感じることはあったけど・・・。
「・・・そか。うん・・・。じゃあ、おれ頑張って、亜子に好きになってもらう」
「え・・・」
「亜子、おれのものにする」
なんという俺様発言・・・。
嬉しくないわけじゃない。
でも、ミコトと私は、違いすぎるじゃない・・・。
私は人間で、ミコトは妖怪。
ミコトは過去は関係ないっていうけど、もし忘れている過去に、大切な人がいたとしたら。
ミコトがいたい別の場所があるとしたら・・・。
そんな事を考えると、素直に気持ちを受け止めることはできない。