溺愛妖狐ひろいました
「今回のイベントは国内旅行のプランだけを取り扱うことになってる」
「はい」
「普段扱ってるプランと合わせて、なにか目玉になるプランを考えて、それが実現可能か営業をかけていかないといけない」
「・・・そうですね。目玉になるプラン・・・ですか」
「ひと月しか準備期間ないし、のんびりしてる暇ないからな」
「は、はい」
あとから聞くと、ひと月しか準備期間がない理由は、当初わが社はそのイベントに参加する予定にはなかったらしい。
でも、急遽別会社がそのイベントを辞退したためその隙間に滑り込んだ、という結果だそうだった。
準備する方としては、しんどい話だけど、それほど大きくない我が社としては、知名度を上げるこれとないチャンスになるんだろう。
だから、仕事のできる遊佐先輩を抜擢したんだと思う。
ならば、なぜその相方が、私なんだろう・・・。
適任なら、本当に秋穂とか他にもたくさんいるはずなのに。
「とりあえず明後日までに、プランの案をいくつか考えて。それから、ブースの設置案も合わせて考えて来て」
「は、はい」
テキパキと指示を出す遊佐先輩に、私は必死でメモを取る。
足を引っ張らないように、しっかりついていかなきゃ。