溺愛妖狐ひろいました
「俺?俺は、たばこ吸いに。中禁煙だし。ここくらいしか吸えるとこないんだよ」
「先輩、たばこ吸うんですか?」
「ん?ああ、そこまで量多くないけど、気分転換程度にはな」
意外な一面。
私、そういうことも知らなかった。
金田先輩の事、好きだって言ってたのに、なにも知らなかったんだ。
知ろうとしなかったって言うのが正しいのかな。
そう、知ろうとしなかった。
憧れてて見てるだけでいいって自分に言い聞かせていたんだもの。
「そうだったんですね」
「そ。まぁ、でもそろそろ辞めないとなぁとは思ってるんだけどな」
「どうしてですか?」
「彼女がさ、たばこあんま好きじゃなくて。側で吸わなくても、匂いは残るからさ」
「優しいですね、先輩」
彼女さんのために、気分転換に吸っていたタバコをやめるつもりなんて。
ほんと、先輩は優しいな・・・。
「いやいや、まだやめれてないんだから、優しくはないだろ」
「でも、そういう風に思えるだけで十分優しいと思います」
そういう気遣いとか、優しいところは知ってる。
そんな先輩が好きになったんだから。