溺愛妖狐ひろいました
☆先輩との接待
「ごめんね、今日も遅くなりそうなの」
ミコトに電話の取り方を教えた私は、定時を過ぎた所で家電に電話をかけ遅くなることをミコトに知らせる。
私が教えたとおり、無事電話をとることができたミコトは、私の言葉にしばし沈黙した。
――ずっとだよ
「うん。ごめんね。今の仕事が落ち着いたらちゃんと帰れるようになると思うから」
――それっていつ?
「いつって・・・、イベントが2月中旬にあって。あと3週間くらいは難しいかな」
――そんなに?やだよ、亜子。早く帰ってきて
耳元から聞こえるミコトの弱々しい声。
寂しい思いをさせてしまっているのはわかってる。
ミコトは多分、かなり寂しがり屋だと思う。
私に側にいてほしい、というよりも、誰かが側にいてくれたらいいんだと思うんだけど。
一緒に過ごしてきて、なんとなくそんな感じがする。
「ごめんね。ご飯は作ってあるものを温めて食べてね。温めるならレンジでね。それから」
――わかった。もういい。ばいばい
拗ねたような声。
プツッと電話は切れてしまった。