溺愛妖狐ひろいました
「じゃあ・・・」
扉を開けもう一度遊佐先輩に挨拶をすると、部屋の中に入る。
真っ暗な部屋。
ミコトは眠ってしまったんだろうか。
そう思いながら戸を閉めていく。
「亜子っ!!!」
ガタガタッと大きな音を立てリビングからミコトが飛び出してきた。
「わっ!?」
勢いよく抱きつかれ、バランスを崩す。
起きて待っていてくれたんだ・・・。
「ごめんね、ミコト・・・」
―――――――・・・
―――――・・・
ゆっくりと閉められていく扉。
浩一がふぅ、と息を吐き帰ろうと踵を返したその瞬間。
「亜子っ!!!」
亜子の部屋の中から、男の声が聞こえた。
「・・・男?」
浩一は眉を寄せると、すっかり閉じられた部屋の扉を見つめた。