溺愛妖狐ひろいました
パタンと閉じられた扉を最後に振り返ると、首を傾げ歩き出す。
「・・・匂い、そんな匂うか?」
腕を鼻に近づけ臭いを嗅いでみる。
別にいつもと変わりないように感じるが、普段からそんな匂うのか?と不安にもなる。
それにしても、あそこまで敵意丸出しにされるとは思わなかった。
そもそも、亜子の部屋に他の誰かがいるなんて・・・。
そしてふと思い出した。
前回送った時、中に入った亜子の部屋の扉の隙間から、他の誰かの声が聞こえたような気がしたこと。
あの時も、中にあいつがいたのか・・・。
親戚だと言っていた。
本当に、親戚なのだろうかと。
疑問に思いながらアパートから出ると、亜子の部屋がある場所を見上げた。