溺愛妖狐ひろいました


まだ完全に妖狐の事を知ったわけじゃないけど。
人間に見える姿に化けるのは、なかなか力を消耗するんだってことは知った。
その上、耳や尻尾を隠さないといけないことは、さらに力を使うことになる。




「ばれたら亜子に迷惑かかるのわかってるから。絶対ばれないようにする。人間のフリもちゃんとする」

「ミコトは、人間が嫌いでしょう?うなされるほどに・・・。それでも、頑張れるの?」




私は、それが心配なの。
ミコト自身が、その理由は覚えていなくても。
ミコトの心はきっと覚えていて。

だからこそ、今でも人間にいい想いを抱けなくて。
魘されてしまうほどに、憎んでる。


そんな人間と一緒に、働けるの?





「人間は嫌いだ。でも、亜子といるためなら我慢できる」

「なんでそんなに・・・」




わからない。
私が特別何かをしたわけじゃない。


きっと、私じゃなくても同じことをした人はいるはず。
たまたまミコトを拾ったのが私だっただけ。




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