溺愛妖狐ひろいました


「いやぁー猫の手も借りたいとはこういうことだね」




ついこの間までは上機嫌でニコニコ顔だった部長が、げっそりとした顔で項垂れている。
あのイベント以来、どっと忙しくなった業務にみんな仕事に追われている。


私自身も、今までにないくらいの激務に疲労を確かに感じていた。
でも、仕事が増えたってことはお客さんにもよかったって思ってもらえたってことで。
そう思うと、仕事もなんだか頑張れる気がした。




「いや、本気でアルバイトでも雇う必要が出てきそうだな」

「アルバイトですか?」

「今、コピーとか雑務もそれぞれ自分たちでやっているだろう?そういうのをしてくれる人がいれば、自分の仕事にその時間を回せるし・・・。学生のアルバイトとか、求人出せるか上に掛け合ってみるか・・・」




ぶつぶつと考え込んでいる部長に、ふと思いついた。
いや、でも。
いくら社員の推薦でも、身元のよくわからない人間を雇うほど馬鹿じゃないよね・・・。

それに、最初は確実に役には立たないし。
むしろ逆に手がかかるだろうし・・・。


そんなサバイバルな事、言えない・・・。




でも・・・。




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