溺愛妖狐ひろいました
「それから、」
「大丈夫だって!おれ、ちゃんとやるよ!」
最後には、ミコトに止められてしまった。
心配しすぎなのかな。
でも、妖狐が人間の中で生活するってどれだけ大変な事なのか、私には到底想像もできない。
ミコトは、そういうの見せないし、平気そうにするけど。
本当に大丈夫なのか、心配なんだよ。
でも、それがお節介、なのかな。
ミコトは私のおせっかいを喜んでくれるから、ついつい手を出しすぎちゃう。
ミコトだって、いい加減うんざりするよね。
「雨宮ミコトです!えと、亜子とは、とおーいとーい親戚みたいだけど、よくわかりません!この髪の毛も生まれつきです。一生懸命仕事がんばります!お願いします!」
始業前に、ミコトは社員全員の前で挨拶をした。
明るくはつらつとしているミコトに、深く突っ込む人はいなかった。
事前に、訳ありだと上司が説明してくれていたからだろう。
ミコトは自分が“訳あり”だって言われていることに、特別なにも思っていないみたいだけど。
私は少し複雑だ。